プロジェクトマネージャーの生き方

キャリアへの示唆や組織の中での生き方について書いていきます

プロジェクトマネージャーの転職 その3

サイドストーリー的に書き始めた個人的な転職体験談ですが、今回は私の通った転職までの4段階

  1. モヤモヤ: 将来に不安を感じ、ただ漫然と探す
  2. シャキッと: 自己分析をし、ターゲットを絞る
  3. ワクワク: 応募の準備をする
  4. ドキドキ: 応募、選考(特に面接)

 

のうち、第2段階の後半です。

バックナンバー

第1段階(だた漠然と現状に不満を募らせ、やさぐれた割には頭の中がお花畑だった頃):

プロジェクトマネージャーの転職 その1 - プロジェクトマネージャーの生き方

第2段階(自分の価値観などを整理しようとミッション・ステートメントを書こうとし始めた頃)

プロジェクトマネージャーの転職 その2 - プロジェクトマネージャーの生き方

転職への道 第2段階 シャキッと編 後半

前回も書きましたが、「ミッション・ステートメント」を書くにはまず自分の価値観・本音を炙り出さなければなりません。もちろん、ひたすら自問自答しても何か出てくるかもしれませんが、手引きとなる質問(例えば「あなたにとっての成功とは何ですか」)に答えていくことが推奨されているようです。私もとりあえず本やインターネットで見つけた色々な質問に答えてみて、そこで出てくるキーワードを整理するようにしました。

ここで最も大事なのはとにかく自分の視点で考えることです。こう答えたら家族が喜ぶかな、といった他人のご機嫌を伺うような視点はとりあえずおいて置きましょう。家族・恋人・友人・同僚など自分の周りの人たちはもちろん大事なのですが、自分の人生なのでまずは自分の想いに正直になりましょう。人は死ぬときはどうせ独りです。

と、ここまで書いておいて何ですが、自分の視点で自分の価値観・行動規範を明文化する訳ですが、じゃあ周りの人間(特に家族)のことを全く考えなくて良いかというと、そういう訳にはいかないんじゃないかというのが、今の正直な感想です。自分の視点として「家族には幸せでいてほしい」というのが、本当に自分視点と言えるのか、個人的には悩みどころです。私の場合、とにかく自分の視点に立った「ミッション・ステートメント」に従って転職先を見つけましたが、家族からの理解は得られませんでした。半ば強引に転職しましたが、夫婦関係にヒビが入った(元から結構ヒビだらけでしたが・・・)のは事実です。恐らく私の理解不足も多々あるとは思うのですが、自分視点と家族視点を高次元で融合する(まさに「アウフヘーベン」とも言うべきか)ことについては引き続き考えていきたいと思っています。

自分の内面がえぐられる質問

さて、色々ある手引きの質問ですが、その中で私自身内面をえぐられた感じがした質問をいくつか挙げておきます。

まずは「自分にとって大事な価値観」に近づくためのものです。価値観に近づくきっかけ、過程が少しずつ異なりますが、最終的には似たようなキーワードに収束するはずです。

  • あなたが死んだ時に家族、友達、同僚からささげられたい言葉は?
    恐らく一番有名な質問なのですが、自分の色々な役割においてどのような人間でありたいのか、総合的に考えるきっかけとなります。ただ、一つ個人的に気になっているのは「自分の視点で」と言っておきながら「人からこう思われたい」と考えるのは矛盾しているのではないかということです。ちょっとヒネくれ過ぎでしょうか・・・また、この質問はかなり漠然とした答えが最初に出てきますので、そこから数回反芻して掘り下げていくことが必要になります。
  • 5年で死ぬとしたら何をしたいか?
    もうすぐ死ぬかもという極端な状況を考えることで、自分が本当にやりたいことを炙り出す質問です。ここから掘り下げると自分にとって大事な価値観も見えてきます。
  • 自分が無意識に避けていることは何か?
    いつもなんとなくやりたくないことを書き出してみて掘り下げると、これもまた自分にとって大事な価値観が見えてきます。裏からのアプローチですね。
  • 過去を振り返って大事な岐路でどのような決断をしてきたか?
    過去の大きな決断をしっかり考察すれば、そこに無意識に大事にしている価値観が見えてくることもあります。例え「家族の事情でやむを得なく」というような決断であったとしても、それはあなたが家族を大事に考えている、ということの示唆になります。家族と歩む人生に価値を見出していると言うことではないでしょうか?

そして、次に自分の能力を見つめ直すための質問です。最終的には行動指針のような形にまとめたいので、価値観と並んで自分ができることも知っておくと無理のない行動指針になるはずです。

  • 自分の好きなことは何か?
    • 子供の頃からずっと興味があることは?
    • 学ぶのが苦にならないことは?
    • 無償でもやれる、もしくはやりたいことは?
  • 自分の得意なことは何か?
    • 友達や同僚によく頼まれることは何か?
    • これだったら人に負けないと思うことは何か?

まだまだ一杯似たような質問がありますが、しっかりと掘り下げれば、上の質問に答えようとするだけでも凡そ収束してくると思います。

ヒント: 憧れの人

上の質問に答えるのに、自分のことだと思うとどうも素直になれない、掘り下げられない、という方は、自分の憧れの人、目標としている人、好きな人を書き出してみて、その理由を考えてみて下さい。他人のことを分析する訳ですから、自分のことよりはすんなり掘り下げられるのではないでしょうか。憧れの人や目標としている人は、友達や同僚といった身近な人だけでなく、歴史上の人物でも構いません。私は、会社の先輩2人、本で読んで感銘を受けた数人の日本人エンジニアで考えてみました。

5 x Why

先ほどから、「掘り下げる」と何度も繰り返してきましたが、大体最初に思いつく答えはまだまだ表層的です。ですので、同じようなキーワードが出てくるまで掘り下げなければいけないのですが、これもまた簡単ではありません。基本的には、どんな答えが出てこようとも「ということはどういうことなのか」と繰り返していくことになります。

以前お笑い芸人がやっていたように記憶しているのですが、「それから?」「からの?」「もう一声」のようなノリでやってみても良いでしょうし、エンジニアの方であれば有名な「なぜなぜ分析(5 x Why)」をそのまま適用しても良いでしょう。

掘り下げているうちに、さっきも似たような言葉が出てきたな、となればしめたもの。繰り返し出てくる言葉が、あなたにとって大事な価値観であり、能力であり、場合によっては既に行動指針が抽出されているかも知れません。

最後はシンプルに

ここまで来れば、自分の行動指針がぼんやりと自分の頭に浮かんでいるのではないでしょうか。それでも、ここから「ミッション・ステートメント」にまとめるのは結構大変です。(私はここからさらに時間がかかりました)正直なところ、特効薬的なものは私は思いつきません。質問に答えて出てきたキーワードを眺めて、あーでもない、こーでもない、と考えました。ハウツー的なものを期待されていたならば申し訳ないです・・・

ただ、最終的な「ミッション・ステートメント」の構造ぐらいは参考になるものをご紹介しておきます。

  • テーマ: 行動指針をコンパクトに、インパクトのあるようにまとめる
  • 込めた想い、価値観: 質問に答えることで見えてきたキーワード
  • そのための行動: 日々の行動に優先順位をつける基準を具体的に定義する

前後してしまいますが、「込めた想い、価値観」→「テーマ」→「そのための行動」の順で書けばやりやすいかと思います。

「ミッション・ステートメント」は大事に奥にしまっておくのではなく、日々の生活で常に参照されるべきものですから、特にテーマに関しては、難しく長ったらしい文章ではなく、短く・簡潔にできればインパクトのある表現にしておく必要があります。コピーライターのようなものだとご理解下さい。私の場合は、テーマは10文字程度のものを2点並列して書きました。

 

本来は、私が「ミッション・ステートメント」を書いた顛末を書くはずだったのに、「ミッション・ステートメント」の書き方のコツみたいな記事になってしまいました。

兎にも角にも、上でお話ししたような顛末を経て「ミッション・ステートメント」を書き、以前よりは自分のことが分かった気になりました。これを基にすれば、どんな職種・会社にしようか、そのためにはどんな履歴書・カバーレターを書けば良いのか、ただモヤモヤしていた時よりははっきりとしました。

次回はワクワク編(応募の準備)に入っていきたいと思います。