プロジェクトマネージャーの生き方

キャリアへの示唆や組織の中での生き方について書いていきます

プロジェクトマネージャーの転職 その2

この間から、少し脇道に逸れて個人的な転職体験談を書き始めたのですが、今回は私の通った転職までの4段階

  1. モヤモヤ: 将来に不安を感じ、ただ漫然と探す
  2. シャキッと: 自己分析をし、ターゲットを絞る
  3. ワクワク: 応募の準備をする
  4. ドキドキ: 応募、選考(特に面接)

のうち、第2段階のお話です。ただ、書いているうちに長くなりそうになってきたので、さらに2回に分けたいと思います。

 

バックナンバー

第1段階(ただ漠然と現状に不満を募らせ、やさぐれた割には頭の中がお花畑だった頃):

プロジェクトマネージャーの転職 その1 - プロジェクトマネージャーの生き方

 

転職への道 第2段階 シャキッと編 前編

ビジョン無き人生

前回の記事で触れましたが、当初は自分が何を目指しているのかすらはっきりしないまま、何となく求人情報を眺めていました。

LinkedInは皆さんご存知だとは思いますが(念のために一言で表現すると、ビジネスユースに重点を置いたFacebookみたいなものです)、これはなかなかによく出来ていて、プロフィールに基づいてお勧め求人をリストアップしてくれるのですが、どれもピンときませんでした。どうしても自動車業界のプロジェクトマネージャーのポジションに偏るのですが、だったら今の会社にいれば良いのでは、「他に何か面白いことはないのか」と思ってしまうのです。では他の面白いことって何なのか、というと自分でもはっきりと分かっていませんでした。

ビジョンが無いとさらなる問題があります。応募にはまずカバーレター、履歴書といった書類を用意しないといけないのですが、これらにストーリーを紡ぐことができません。第3段階のところで書きますが、たくさんの応募の中から選んでもらうには、やはり自分の考えを自分の言葉で語りかけなければなりません。ビジョンが無い状態では、どうしても書類の魅力度は低下してしまい、もし気になったポジションが目に留まっても、結局書類審査を通過できなくなってしまいます。

意外と難しい「自分探し」

ビジョンが無いままではいつまで経っても転職できないだろうということに段々と気づいてきたのですが、では具体的にどうやって人生のビジョンを描けば良いのかは分かっていませんでした。自分で考えてみても、何となく照れくさい、もしくは恥ずかしいような感じもして、なかなか素直に自分の想いを整理できません。

最終的には、自分の「ミッション・ステートメント」を実際に書くことで、自分にとって大事な価値観、それを守るために必要な行動を明文化しました。そして、これを元に、どんな仕事をしたいのか、以前よりは具体的なイメージが持てるようになりました。そもそも「ミッション・ステートメント」とは何なのか、もう少し詳しく下で書きますが、もしどなたかこれからやってみようとお考えであれば、お節介ながら3点だけアドバイスです。

  • 独りでやる
    本当に自分の気持ちに正直になるならば、やはり独りでやった方が良いです。
    特に、自分自身を理解するための質問に答える時、つい他人の目を気にしがちです。例えば、「自分はとにかく社長になりたい」と思っていても、何となく恥ずかくて断言しづらくないですか?(もしかして私だけ?)誰に見せる必要も無いので、独りで考えて自分の本音を正直に書いてみましょう。できることなら物理的にも独りになれる時間があった方が良いと思います。
  • たっぷり時間をかける
    自分自身を理解するための質問に答えたり、それを整理したりするには、それなりに時間がかかります。数日では到底無理だと思います。また、一旦できたと思っても、しばらく寝かせてまた読み返すと、理解できない、しっくりこないということもあるでしょう。
    ここを無理して早く済ませる必要はありません。私は思い立ってから、納得できるものができるまで半年ぐらいかかりました。
  • 正解は無いので型にはめようとしない
    色々な「ミッション・ステートメント」の例がインターネットなどで紹介されていますが、自分の目指すことをどれぐらい具体的に(あるいは抽象的に)書くか、どのように表現するするのか(文章にするのか図にするのか)、正解はありません。
    自分が日々の生活で常に頭に留めておけるのであればどんな形式でも構わないですし、何かあればまた書き直せば良いのです。型にはめようとしすぎると、本筋を見失ったり却って時間がかかったりします。

ちなみに、「ミッション・ステートメント」と名乗らなくても、結果的に似たようなものに辿り着けるテクニックは他にもたくさんあります。私も他にもいくつか本を読み、そこで紹介されているワークをやってみたり、考え方に基づいて自分の価値観を書いてみたりしましたが、最終的には似たような言葉が何度も出てきました。参考までにこの頃読んだ本をいくつか挙げておきます。

「ミッション・ステートメント」って?

ここまで、当たり前のように「ミッション・ステートメント」という言葉を使ってきましたが、ここで簡単に解説しておきます。

「ミッション・ステートメント」はスティーブン・R・コヴィー氏の「7つの習慣」という本(元祖自己啓発本的な位置付け?)の中で提唱されているもので、「自分の憲法」という言い方もされます。私は勝手に、自分が人生において何かを決める時に一本の筋が通った根拠を持っておきましょう、ということだと理解しています。

7つの習慣」に関しては、日本語の本やインターネットサイトがたくさんありますので、詳しい内容はそれらをご参照下さい。「ミッション・ステートメント」は第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」の中心的概念となっています。今では個人レベルだけではなく組織レベルでも定義されることも増えており、いわば流行りとなっているので、作成方法についても書籍・インターネットで色々な情報をみることができます。

基本的には、自分自身を深く理解するための色々な質問があり、それに答えようと考えるうちに自分の内面が炙り出されてくる(はず)という仕掛けになっています。最も有名な質問としては、自分の葬式で身近な人達に何と言ってもらいたいか、というものがあります。これらの質問への答えを書き出して、うまく整理すれば(これがまた難しい)、自分にとって大事な価値、それを守るためにとるべき行動が明文化されるわけです。

 

では具体的に、どのような質問に取り組み、どうやって整理し、どんな「ミッション・ステートメント」を定義したのか、後編にてお話ししていこうと思います。