お伝えしたい内容
前回はプロジェクトマネージャーの生き方を考える参考とするために、プロジェクトマネジメントの定義について振り返った(以下記事)。
この記事ではプロジェクトマネジメントの定義を、
・『プロジェクト』の定義
・『マネジメント』の定義
からre-visitしている。また、筆者の経験を元に、単一のプロジェクトをマネジメントする、という視点から、組織観点からプロジェクトマネジメントに対する期待も少し書いてみた。What(プロジェクトとは?)について少し検討できたところで、How(プロジェクトマネジメントの方法論)についてこれから数回触れていきたいと思う。
プロジェクトマネジメントの方法論については、かなり色々な書籍や考え方が述べられているが、第一回目では皆さんもよく目にするであろう(?)、PMBOK準拠のプロジェクトマネジメントについて述べ、そのプロコンというか、善し悪しについて書こうと思う。第二回目以降では、その詳細と、組織目線で期待されるプロジェクトマネジメント視点について述べていきたい。
(どちらかと言うと、PMBOKだけでは宜しくない、という論調で話を進めますが、否定ひている訳ではありませんので、ご了承ください)
PMBOKによる『プロジェクトマネジメントの方法論』
プロジェクトマネジメントに多少なりとも興味がある方は、PMBOKの方法論については聞いたことがある/勉強したことがある、という方が多くいると思う(そうでなければ方法論を完結に要約した書籍等があるので、一応目を通すことをお勧めします)。
PMBOKはBest Practiceの集合と言われていて、これまでの様々なプロジェクトの集合知というか、それらから得られた知見を抽象化したような知識体系となっている。
凄くざっくり言うと(詳しくはPMBOK書籍等をご参照ください)、
- ステークホルダーの特定
- プロジェクト憲章
- スコープの定義
- スケジュール・計画の策定
- QCD方針、および、マネジメント方針の策定
- コミュニケーションやリスクマネジメント方針の策定
- 実行管理
このような項目に対して活動をすることが定められている。WBSでの進捗管理、会議体や委員会等でのQCDマネジメント方針議論、リスク管理表の作成などは上記の活動の実体であり、上記のようなマネジメントエリアに対して種々のツールやフレームワークを活用してプロジェクトマネジメントを行うことが推奨というか、ある種の例として述べられてもいる。
他にも重要なことがあるかもしれないが、これらのマネジメントエリアは大体どのプロジェクトでも検討、あるいは、考慮しなければいけないエリアであり、特に新しくプロジェクトマネージャーになった方には、運転を始めるための『教習所で教えてくれるコト』と思って頂き、実体の方法論はともかく、概念的な部分は是非書籍等で押さえておいて頂きたい。
例えば、以下等や、場合によってはPMPの資格等を取っても良いと思う。実際プロジェクトマネジメントのベースラインとして、普段の会話でもこの辺りから出てくる単語や考え方が明示的では無いにしても重要であると感じる。
PMBOKによる『プロジェクトマネジメントの方法』の善し悪し
一方で、PMBOKの内容についてはその抽象度の高さから、特定のプロジェクトや組織に対してテーラーリングが難しい場合もあるように思う。例えば、要件がしっかり定義されているウォーターフォール的開発であったり、これまでに組織内で何度も経験しているような開発にはあう気もするが、作るものが明確でない研究プロジェクト(これも最近はよくあり、顧客自身が何をしたいか分かってないことも多々ある、と言われている)や、製品開発のはるか手前のPOCプロジェクトには向かない気もする。
また、組織内で体系やフェーズが異なる複数のプロジェクトが有る場合に、プロジェクトマネージャーが何を考えるべきか、ということについては余り触れられていない。課題分析→施策立案→実行→チェック、という観点では確かに研究であろうが開発であろうが同じような気もするが(イタレーションサイクルが違うだけという気もするが)、組織観点では、組織内に存在する異なるプロジェクトのそれぞれの性質やプロセスを分析することが重要ではないだろうか。
次回は、PMBOKが適するプロジェクト、そうでないプロジェクトについてもう少し考えつつ(出来れば象限化する等して構造化してみたい)、組織視点で複数のプロジェクト全体をどう捉えるか等を考えてみたいと思う。
(書き手:S)