プロジェクトマネージャーの生き方

キャリアへの示唆や組織の中での生き方について書いていきます

プロジェクトマネジメントの方法論 その1

お伝えしたい内容

前回はプロジェクトマネージャーの生き方を考える参考とするために、プロジェクトマネジメントの定義について振り返った(以下記事)。

この記事ではプロジェクトマネジメントの定義を、

 ・『プロジェクト』の定義

 ・『マネジメント』の定義

からre-visitしている。また、筆者の経験を元に、単一のプロジェクトをマネジメントする、という視点から、組織観点からプロジェクトマネジメントに対する期待も少し書いてみた。What(プロジェクトとは?)について少し検討できたところで、How(プロジェクトマネジメントの方法論)についてこれから数回触れていきたいと思う。

プロジェクトマネジメントの方法論については、かなり色々な書籍や考え方が述べられているが、第一回目では皆さんもよく目にするであろう(?)、PMBOK準拠のプロジェクトマネジメントについて述べ、そのプロコンというか、善し悪しについて書こうと思う。第二回目以降では、その詳細と、組織目線で期待されるプロジェクトマネジメント視点について述べていきたい。

(どちらかと言うと、PMBOKだけでは宜しくない、という論調で話を進めますが、否定ひている訳ではありませんので、ご了承ください)

 

pj-management.hatenablog.com

PMBOKによる『プロジェクトマネジメントの方法論』

プロジェクトマネジメントに多少なりとも興味がある方は、PMBOKの方法論については聞いたことがある/勉強したことがある、という方が多くいると思う(そうでなければ方法論を完結に要約した書籍等があるので、一応目を通すことをお勧めします)。

PMBOKはBest Practiceの集合と言われていて、これまでの様々なプロジェクトの集合知というか、それらから得られた知見を抽象化したような知識体系となっている。

凄くざっくり言うと(詳しくはPMBOK書籍等をご参照ください)、

  • ステークホルダーの特定
  • プロジェクト憲章
  • スコープの定義
  • スケジュール・計画の策定
  • QCD方針、および、マネジメント方針の策定
  • コミュニケーションやリスクマネジメント方針の策定
  • 実行管理

このような項目に対して活動をすることが定められている。WBSでの進捗管理、会議体や委員会等でのQCDマネジメント方針議論、リスク管理表の作成などは上記の活動の実体であり、上記のようなマネジメントエリアに対して種々のツールやフレームワークを活用してプロジェクトマネジメントを行うことが推奨というか、ある種の例として述べられてもいる。

他にも重要なことがあるかもしれないが、これらのマネジメントエリアは大体どのプロジェクトでも検討、あるいは、考慮しなければいけないエリアであり、特に新しくプロジェクトマネージャーになった方には、運転を始めるための『教習所で教えてくれるコト』と思って頂き、実体の方法論はともかく、概念的な部分は是非書籍等で押さえておいて頂きたい。

例えば、以下等や、場合によってはPMPの資格等を取っても良いと思う。実際プロジェクトマネジメントのベースラインとして、普段の会話でもこの辺りから出てくる単語や考え方が明示的では無いにしても重要であると感じる。

www.pmi-japan.shop

 

PMBOKによる『プロジェクトマネジメントの方法』の善し悪し

一方で、PMBOKの内容についてはその抽象度の高さから、特定のプロジェクトや組織に対してテーラーリングが難しい場合もあるように思う。例えば、要件がしっかり定義されているウォーターフォール的開発であったり、これまでに組織内で何度も経験しているような開発にはあう気もするが、作るものが明確でない研究プロジェクト(これも最近はよくあり、顧客自身が何をしたいか分かってないことも多々ある、と言われている)や、製品開発のはるか手前のPOCプロジェクトには向かない気もする。

また、組織内で体系やフェーズが異なる複数のプロジェクトが有る場合に、プロジェクトマネージャーが何を考えるべきか、ということについては余り触れられていない。課題分析→施策立案→実行→チェック、という観点では確かに研究であろうが開発であろうが同じような気もするが(イタレーションサイクルが違うだけという気もするが)、組織観点では、組織内に存在する異なるプロジェクトのそれぞれの性質やプロセスを分析することが重要ではないだろうか。

次回は、PMBOKが適するプロジェクト、そうでないプロジェクトについてもう少し考えつつ(出来れば象限化する等して構造化してみたい)、組織視点で複数のプロジェクト全体をどう捉えるか等を考えてみたいと思う。

 

(書き手:S)

 

 

 

 

 

プロジェクトマネージャーの転職 その3

サイドストーリー的に書き始めた個人的な転職体験談ですが、今回は私の通った転職までの4段階

  1. モヤモヤ: 将来に不安を感じ、ただ漫然と探す
  2. シャキッと: 自己分析をし、ターゲットを絞る
  3. ワクワク: 応募の準備をする
  4. ドキドキ: 応募、選考(特に面接)

 

のうち、第2段階の後半です。

バックナンバー

第1段階(だた漠然と現状に不満を募らせ、やさぐれた割には頭の中がお花畑だった頃):

プロジェクトマネージャーの転職 その1 - プロジェクトマネージャーの生き方

第2段階(自分の価値観などを整理しようとミッション・ステートメントを書こうとし始めた頃)

プロジェクトマネージャーの転職 その2 - プロジェクトマネージャーの生き方

転職への道 第2段階 シャキッと編 後半

前回も書きましたが、「ミッション・ステートメント」を書くにはまず自分の価値観・本音を炙り出さなければなりません。もちろん、ひたすら自問自答しても何か出てくるかもしれませんが、手引きとなる質問(例えば「あなたにとっての成功とは何ですか」)に答えていくことが推奨されているようです。私もとりあえず本やインターネットで見つけた色々な質問に答えてみて、そこで出てくるキーワードを整理するようにしました。

ここで最も大事なのはとにかく自分の視点で考えることです。こう答えたら家族が喜ぶかな、といった他人のご機嫌を伺うような視点はとりあえずおいて置きましょう。家族・恋人・友人・同僚など自分の周りの人たちはもちろん大事なのですが、自分の人生なのでまずは自分の想いに正直になりましょう。人は死ぬときはどうせ独りです。

と、ここまで書いておいて何ですが、自分の視点で自分の価値観・行動規範を明文化する訳ですが、じゃあ周りの人間(特に家族)のことを全く考えなくて良いかというと、そういう訳にはいかないんじゃないかというのが、今の正直な感想です。自分の視点として「家族には幸せでいてほしい」というのが、本当に自分視点と言えるのか、個人的には悩みどころです。私の場合、とにかく自分の視点に立った「ミッション・ステートメント」に従って転職先を見つけましたが、家族からの理解は得られませんでした。半ば強引に転職しましたが、夫婦関係にヒビが入った(元から結構ヒビだらけでしたが・・・)のは事実です。恐らく私の理解不足も多々あるとは思うのですが、自分視点と家族視点を高次元で融合する(まさに「アウフヘーベン」とも言うべきか)ことについては引き続き考えていきたいと思っています。

自分の内面がえぐられる質問

さて、色々ある手引きの質問ですが、その中で私自身内面をえぐられた感じがした質問をいくつか挙げておきます。

まずは「自分にとって大事な価値観」に近づくためのものです。価値観に近づくきっかけ、過程が少しずつ異なりますが、最終的には似たようなキーワードに収束するはずです。

  • あなたが死んだ時に家族、友達、同僚からささげられたい言葉は?
    恐らく一番有名な質問なのですが、自分の色々な役割においてどのような人間でありたいのか、総合的に考えるきっかけとなります。ただ、一つ個人的に気になっているのは「自分の視点で」と言っておきながら「人からこう思われたい」と考えるのは矛盾しているのではないかということです。ちょっとヒネくれ過ぎでしょうか・・・また、この質問はかなり漠然とした答えが最初に出てきますので、そこから数回反芻して掘り下げていくことが必要になります。
  • 5年で死ぬとしたら何をしたいか?
    もうすぐ死ぬかもという極端な状況を考えることで、自分が本当にやりたいことを炙り出す質問です。ここから掘り下げると自分にとって大事な価値観も見えてきます。
  • 自分が無意識に避けていることは何か?
    いつもなんとなくやりたくないことを書き出してみて掘り下げると、これもまた自分にとって大事な価値観が見えてきます。裏からのアプローチですね。
  • 過去を振り返って大事な岐路でどのような決断をしてきたか?
    過去の大きな決断をしっかり考察すれば、そこに無意識に大事にしている価値観が見えてくることもあります。例え「家族の事情でやむを得なく」というような決断であったとしても、それはあなたが家族を大事に考えている、ということの示唆になります。家族と歩む人生に価値を見出していると言うことではないでしょうか?

そして、次に自分の能力を見つめ直すための質問です。最終的には行動指針のような形にまとめたいので、価値観と並んで自分ができることも知っておくと無理のない行動指針になるはずです。

  • 自分の好きなことは何か?
    • 子供の頃からずっと興味があることは?
    • 学ぶのが苦にならないことは?
    • 無償でもやれる、もしくはやりたいことは?
  • 自分の得意なことは何か?
    • 友達や同僚によく頼まれることは何か?
    • これだったら人に負けないと思うことは何か?

まだまだ一杯似たような質問がありますが、しっかりと掘り下げれば、上の質問に答えようとするだけでも凡そ収束してくると思います。

ヒント: 憧れの人

上の質問に答えるのに、自分のことだと思うとどうも素直になれない、掘り下げられない、という方は、自分の憧れの人、目標としている人、好きな人を書き出してみて、その理由を考えてみて下さい。他人のことを分析する訳ですから、自分のことよりはすんなり掘り下げられるのではないでしょうか。憧れの人や目標としている人は、友達や同僚といった身近な人だけでなく、歴史上の人物でも構いません。私は、会社の先輩2人、本で読んで感銘を受けた数人の日本人エンジニアで考えてみました。

5 x Why

先ほどから、「掘り下げる」と何度も繰り返してきましたが、大体最初に思いつく答えはまだまだ表層的です。ですので、同じようなキーワードが出てくるまで掘り下げなければいけないのですが、これもまた簡単ではありません。基本的には、どんな答えが出てこようとも「ということはどういうことなのか」と繰り返していくことになります。

以前お笑い芸人がやっていたように記憶しているのですが、「それから?」「からの?」「もう一声」のようなノリでやってみても良いでしょうし、エンジニアの方であれば有名な「なぜなぜ分析(5 x Why)」をそのまま適用しても良いでしょう。

掘り下げているうちに、さっきも似たような言葉が出てきたな、となればしめたもの。繰り返し出てくる言葉が、あなたにとって大事な価値観であり、能力であり、場合によっては既に行動指針が抽出されているかも知れません。

最後はシンプルに

ここまで来れば、自分の行動指針がぼんやりと自分の頭に浮かんでいるのではないでしょうか。それでも、ここから「ミッション・ステートメント」にまとめるのは結構大変です。(私はここからさらに時間がかかりました)正直なところ、特効薬的なものは私は思いつきません。質問に答えて出てきたキーワードを眺めて、あーでもない、こーでもない、と考えました。ハウツー的なものを期待されていたならば申し訳ないです・・・

ただ、最終的な「ミッション・ステートメント」の構造ぐらいは参考になるものをご紹介しておきます。

  • テーマ: 行動指針をコンパクトに、インパクトのあるようにまとめる
  • 込めた想い、価値観: 質問に答えることで見えてきたキーワード
  • そのための行動: 日々の行動に優先順位をつける基準を具体的に定義する

前後してしまいますが、「込めた想い、価値観」→「テーマ」→「そのための行動」の順で書けばやりやすいかと思います。

「ミッション・ステートメント」は大事に奥にしまっておくのではなく、日々の生活で常に参照されるべきものですから、特にテーマに関しては、難しく長ったらしい文章ではなく、短く・簡潔にできればインパクトのある表現にしておく必要があります。コピーライターのようなものだとご理解下さい。私の場合は、テーマは10文字程度のものを2点並列して書きました。

 

本来は、私が「ミッション・ステートメント」を書いた顛末を書くはずだったのに、「ミッション・ステートメント」の書き方のコツみたいな記事になってしまいました。

兎にも角にも、上でお話ししたような顛末を経て「ミッション・ステートメント」を書き、以前よりは自分のことが分かった気になりました。これを基にすれば、どんな職種・会社にしようか、そのためにはどんな履歴書・カバーレターを書けば良いのか、ただモヤモヤしていた時よりははっきりとしました。

次回はワクワク編(応募の準備)に入っていきたいと思います。

 

 

プロジェクトマネージャーの転職 その2

この間から、少し脇道に逸れて個人的な転職体験談を書き始めたのですが、今回は私の通った転職までの4段階

  1. モヤモヤ: 将来に不安を感じ、ただ漫然と探す
  2. シャキッと: 自己分析をし、ターゲットを絞る
  3. ワクワク: 応募の準備をする
  4. ドキドキ: 応募、選考(特に面接)

のうち、第2段階のお話です。ただ、書いているうちに長くなりそうになってきたので、さらに2回に分けたいと思います。

 

バックナンバー

第1段階(ただ漠然と現状に不満を募らせ、やさぐれた割には頭の中がお花畑だった頃):

プロジェクトマネージャーの転職 その1 - プロジェクトマネージャーの生き方

 

転職への道 第2段階 シャキッと編 前編

ビジョン無き人生

前回の記事で触れましたが、当初は自分が何を目指しているのかすらはっきりしないまま、何となく求人情報を眺めていました。

LinkedInは皆さんご存知だとは思いますが(念のために一言で表現すると、ビジネスユースに重点を置いたFacebookみたいなものです)、これはなかなかによく出来ていて、プロフィールに基づいてお勧め求人をリストアップしてくれるのですが、どれもピンときませんでした。どうしても自動車業界のプロジェクトマネージャーのポジションに偏るのですが、だったら今の会社にいれば良いのでは、「他に何か面白いことはないのか」と思ってしまうのです。では他の面白いことって何なのか、というと自分でもはっきりと分かっていませんでした。

ビジョンが無いとさらなる問題があります。応募にはまずカバーレター、履歴書といった書類を用意しないといけないのですが、これらにストーリーを紡ぐことができません。第3段階のところで書きますが、たくさんの応募の中から選んでもらうには、やはり自分の考えを自分の言葉で語りかけなければなりません。ビジョンが無い状態では、どうしても書類の魅力度は低下してしまい、もし気になったポジションが目に留まっても、結局書類審査を通過できなくなってしまいます。

意外と難しい「自分探し」

ビジョンが無いままではいつまで経っても転職できないだろうということに段々と気づいてきたのですが、では具体的にどうやって人生のビジョンを描けば良いのかは分かっていませんでした。自分で考えてみても、何となく照れくさい、もしくは恥ずかしいような感じもして、なかなか素直に自分の想いを整理できません。

最終的には、自分の「ミッション・ステートメント」を実際に書くことで、自分にとって大事な価値観、それを守るために必要な行動を明文化しました。そして、これを元に、どんな仕事をしたいのか、以前よりは具体的なイメージが持てるようになりました。そもそも「ミッション・ステートメント」とは何なのか、もう少し詳しく下で書きますが、もしどなたかこれからやってみようとお考えであれば、お節介ながら3点だけアドバイスです。

  • 独りでやる
    本当に自分の気持ちに正直になるならば、やはり独りでやった方が良いです。
    特に、自分自身を理解するための質問に答える時、つい他人の目を気にしがちです。例えば、「自分はとにかく社長になりたい」と思っていても、何となく恥ずかくて断言しづらくないですか?(もしかして私だけ?)誰に見せる必要も無いので、独りで考えて自分の本音を正直に書いてみましょう。できることなら物理的にも独りになれる時間があった方が良いと思います。
  • たっぷり時間をかける
    自分自身を理解するための質問に答えたり、それを整理したりするには、それなりに時間がかかります。数日では到底無理だと思います。また、一旦できたと思っても、しばらく寝かせてまた読み返すと、理解できない、しっくりこないということもあるでしょう。
    ここを無理して早く済ませる必要はありません。私は思い立ってから、納得できるものができるまで半年ぐらいかかりました。
  • 正解は無いので型にはめようとしない
    色々な「ミッション・ステートメント」の例がインターネットなどで紹介されていますが、自分の目指すことをどれぐらい具体的に(あるいは抽象的に)書くか、どのように表現するするのか(文章にするのか図にするのか)、正解はありません。
    自分が日々の生活で常に頭に留めておけるのであればどんな形式でも構わないですし、何かあればまた書き直せば良いのです。型にはめようとしすぎると、本筋を見失ったり却って時間がかかったりします。

ちなみに、「ミッション・ステートメント」と名乗らなくても、結果的に似たようなものに辿り着けるテクニックは他にもたくさんあります。私も他にもいくつか本を読み、そこで紹介されているワークをやってみたり、考え方に基づいて自分の価値観を書いてみたりしましたが、最終的には似たような言葉が何度も出てきました。参考までにこの頃読んだ本をいくつか挙げておきます。

「ミッション・ステートメント」って?

ここまで、当たり前のように「ミッション・ステートメント」という言葉を使ってきましたが、ここで簡単に解説しておきます。

「ミッション・ステートメント」はスティーブン・R・コヴィー氏の「7つの習慣」という本(元祖自己啓発本的な位置付け?)の中で提唱されているもので、「自分の憲法」という言い方もされます。私は勝手に、自分が人生において何かを決める時に一本の筋が通った根拠を持っておきましょう、ということだと理解しています。

7つの習慣」に関しては、日本語の本やインターネットサイトがたくさんありますので、詳しい内容はそれらをご参照下さい。「ミッション・ステートメント」は第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」の中心的概念となっています。今では個人レベルだけではなく組織レベルでも定義されることも増えており、いわば流行りとなっているので、作成方法についても書籍・インターネットで色々な情報をみることができます。

基本的には、自分自身を深く理解するための色々な質問があり、それに答えようと考えるうちに自分の内面が炙り出されてくる(はず)という仕掛けになっています。最も有名な質問としては、自分の葬式で身近な人達に何と言ってもらいたいか、というものがあります。これらの質問への答えを書き出して、うまく整理すれば(これがまた難しい)、自分にとって大事な価値、それを守るためにとるべき行動が明文化されるわけです。

 

では具体的に、どのような質問に取り組み、どうやって整理し、どんな「ミッション・ステートメント」を定義したのか、後編にてお話ししていこうと思います。

 

 

プロジェクトマネジメントとは何か その1

『プロジェクトマネージャーの生き方』を考える際に、『プロジェクトマネジメントとは何か』を考えることは避けては通れないだろう。今回はいくつかの観点から、プロジェクトマネジメントとは何かを考えてみたいと思う。本記事のゴールは、プロジェクトの定義・姿を正しくとらえることを通じて、自らの動きの見直しに繋げる、すなわちキャリア方向性の検討につなげていくことにある。

PMBOK定義等による『プロジェクト』

PMBOK(LINK)によると、プロジェクトとは以下のように定義されている。

the definition of a project is “a temporary endeavor undertaken to create a unique project service or result.” Projects are temporary and close down on the completion of the work they were chartered to deliver.

適当な(雑にという意味ではありません)日本語訳をPMI等の書物から引用すると、これは、

独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務である

となり、特徴としては有期性があり、プロダクト・サービス・所産を創造する、というスコープが定められた活動を『プロジェクト』と定義しているように見受けられる。これは、プロジェクトではない活動に目を向けると多少理解しやすいかもしれないが、例えば、『社員に給与を支払う』『オフィスをメンテナンスする』等の有期性を伴わないいわゆる定常業務は一般的にはプロジェクトに該当しない、と言われている(あくまでPMBOKの定義に基づいて話しており、決して定常業務が価値が低いとかそういう意味ではありませんのでご理解頂ければと思います)。

また、例えばNASAなどでは、

相互に関連するタスクから構成され、多くの組織が参画して実施される3年以下程度の期間の活動

と定義されており、有期性についてはPMBOKと同様にとらえられるが、どちらかというとそのプロセスに焦点が当てられているように思う。いずれにしても、NASAPMBOKでもこれだけ違うのだから、明確に定義することは難しいだろう。逆に言うと、概ねこれくらいの抽象度でしか定義が難しく、前向きに捉えるとあまり悩まなくても良いということにはなる。

以下では、自分の立場や置かれている環境によって異なるとは思うが、上記のような内容を念頭に、少しプロジェクトマネジメントの定義を考えてみたいと思う。

 

『プロジェクト』をマネジメントするとはどういうことか

上記のように定義された『プロジェクト』という活動を成功させるために、『プロジェクトマネジメント』という活動が存在する。ここでいう『マネジメント』とは、例えばドラッカーの思想等に従って、

  • 投入した資源よりも多くの総和を生み出す生産体を生み出す
  • あらゆる決定と行動に対してただちにやらなければならないものと将来に必要とされるものの調和をとる

とすると、『プロジェクトマネジメント』とは、ざっくりとは

  • プロジェクトに関わる人的資源やプロセスを最適化する
  • プロジェクトに関わるQCDのバランスを取る

という活動のようにとらえられる。

(これを意識して定められているか分からないが)『プロジェクトマネジメント』を上記のような活動だと捉えると、PMIで定められている以下の定義についても何となく納得いくような気がする。

Project management is the application of knowledge, skills, tools, and techniques to project activities to meet project requirements.  

すなわち、プロジェクトマネジメントとは、

  • 何かしら価値を創造するための有期性のある活動(=プロジェクト)を成功させるために、
  • 人的資源やプロセスの最適化、あるいは、QCDのバランスを取るといったプロジェクトの要求を、
  • 知識、スキル、ツール、テクニックを通じて実現する活動

であると読み替えることができる。

経営層が期待するプロジェクトマネジメント

 では、経営層やあなたの上司が期待するプロジェクトマネジメントとは何だろうか。上記のように、何かしら価値を創造するための有期性のある活動(=プロジェクト)を成功させる、ことだけが目標だろうか。もしあなたが経営者であったとしたら、おそらく、『すべてのプロジェクトがうまく行って欲しい』と考えること思う。

 従って、プロジェクトマネージャーである貴方は、『プロジェクトマネージャーとして担当しているプロジェクトを成功させる』、ことに加えて、『組織や経営者が成功して欲しいと願っている全てのプロジェクトを成功させる』ことにも貢献する必要がある。この方法論については、一般的にはPMO(Project Management Office)が担う、等とされているが、次回は、一般的なプロジェクトマネジメント手法に加えて、組織サイズ、その構成等に応じて異なると考えられる、『組織や経営者が成功して欲しいと願っている全てのプロジェクトを成功させる』ための方法論について考えたいと思う。

 

(書き手:S)

 

【メモ】他に書きたいこと
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーのスキルセット
プロジェクトマネージャーに対する経営層からの期待
パワーポイントエンジニアリング
私の大失敗プロジェクト
最近のプロジェクトマネジメントの流行り
機能品質とPOC
他に何かあったらコメントで教えてください 

 

 

 

プロジェクトマネージャーの転職 その1

プロジェクトマネージャーとは何か、他のマネージャーと何が違うのか、という話を書いてきましたが、並行して自分の転職の話も綴っていきたいと思います。

私は新卒で入社した会社に15年勤めた後、今の会社に転職しました。その際に面接で聞かれたことを振り返ると、会社がプロジェクトマネージャーに期待する役割、要求するスキルを垣間見ることもできます。ちょっと脇道には逸れますが、転職の体験談から始めて、会社から期待されるプロジェクトマネージャー像というものを考えていきます。

ちなみに、私は海外で転職しましたので、ついでに海外転職事情のようなことも少し触れていくつもりです。

 

さて、振り返ってみると、私の転職活動は大きく4段階に分けることができます。

  1. モヤモヤ: 将来に不安を感じ、ただ漫然と探す
  2. シャキッと: 自己分析をし、ターゲットを絞る
  3. ワクワク: 応募の準備をする
  4. ドキドキ: 応募、選考(特に面接)

おそらく多くの方が似たような道を歩まれたことでしょう。

転職のプロなら真っ直ぐ第2段階に突入するのでしょうが、私も人生初めての転職ということでおっかなびっくり、へっぴり腰で始めたため、第1段階ですっかり時間がかかってしまいました。今回はその第1段階のお話です。ただ、この段階では転職に向けて何か具体的に意味のあることをしたわけではないので、転職に向けて心が傾いていった背景の話になります。

転職への道 第1段階 モヤモヤ編

そんなに悪くない、最初の会社での15年

最初に書いたように、私は新卒で入社した海外の自動車部品メーカーの本社で15年勤めました。そこではありがちな「エンジニアのキャリア」をゆっくりと辿り、エンジニアとして開発業務に携わり、プロジェクトマネジメントの真似事のような仕事もこなすようになり、その後プロジェクトマネージャーとして自分の担当プロジェクトを回し、最終的にはシニアプロジェクトマネージャーの肩書きをもらっていました。ゆっくりしたペースでしたが、製品開発部、研究所、子会社などで様々なプロジェクトに関わり、外国人にしては(会社からすると私は外国人)そう悪くない経験だったと思います。

ただ、シニアプロジェクトマネージャーになってから大きなプロジェクトを担当したことはなく、大きいプロジェクトを始めるための準備に関わっては失注などでプロジェクトが中止になる、ということの繰り返しでした。

やさぐれた日々

腰を落ち着けて打ち込めるプロジェクトが無い中でちょっとずつやさぐれていき、段々と他の会社のポジションを物色するようになっていった訳です。このやさぐれ感を今になって整理してみると、

  • (元)エンジニアとしてのやりがい
    会社がイノベーションを謳っている割には技術的に尖ったものが何も無い、というがっかり感。
  • プロジェクトマネージャーに対するモチベーション
    技術者からキャリアアップする登竜門だと言われたからプロジェクトマネージャーになってみたけど、部長になるには道がずれていないか、という疑問。
    そもそも部長になりたいんだっけ、出世って何なんだ、幸せって何なんだという疑問。
  • 若くしてさっさと出世する人達へのルサンチマン
    自分より若い部長レベルが一杯いてもう自分は周回遅れ、という手遅れ感。
    でも何であんな人たちが出世しているのだろう、というやっかみ。

が絡み合ったものでした。出世できないサラリーマンあるあるですね(苦笑)

こうなってしまったのは、ひとえに長期ビジョンの無さが原因でしょう。

出世したい人って早いうちから何をすれば出世できるのか考えてそこにちゃんと労力をかけていますよね。私は、技術的に「分かっている人」になりたい、という思いは強かったのですが、キャリアに関しては、頑張っていれば勝手に出世するでしょ、出世のためだけに何かするのはダサいと無邪気さ全開でした。結果、当然出世に関しては周回遅れとなりました。

アテも無く漂流

この段階では、こういった自己分析もまだできていないので、ただモヤモヤの腹いせに、

「何か他に面白いことは無いかな〜」

とLinkedInの「Open for new job」ボタンをオンにして、

いつか埋もれた自分の価値を見つけて大抜擢してくれるスーパーオファーがくるに違いない、と信じていました。

その状態で2年近くを過ごしました。

時々LinkedInで転職エージェントからスカウトを頂いたりしましたが、ピンとくるものもなく、逆にふと目について気にあった求人におっかなびっくり応募してみて音沙汰がなかったり、何の進展もありませんでした。

そうだ、人生について考えよう

時が過ぎ、モヤモヤを拗らせたまま年齢も40越え、いよいよミドルエイジクライシスの様相を呈してきた折、同じように海外で長くキャリアを積まれている先輩から、スティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」についての話を聞きました。全部が全部その通りやらなくても良いけど、共感する部分があれば取り入れてみれば、とのことでした。

30代の頃は自己啓発的な話は怪しいとしか思っていなかったのですが、ここまでやさぐれてしまったら、そんなことも言ってられない、と少し調べてみることにしたのがきっかけで、徐々にですが、自分がどうありたいのか、自分は何をしたいのか、などということを考えるようになっていきました。

ここのあたりから、第2段階に入りますので、次回に書きたいと思います。

 

(書き手:K)

プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違い

プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーのざっくりした違い

 前回(LINK)でも少し触れたが、プロジェクトマネージャーと聞くと、何となく、少なくともプロジェクトに関わったことがある人であれば、その役割について想像できるだろう。

 

PMBOKなどでは、プロジェクトマネージャーの定義について、

Project managers are organized, goal-oriented professionals who use innovation, creativity, and collaboration to lead projects that make an impact.

https://www.pmi.org/about/learn-about-pmi/who-are-project-managers

※ ちなみに私はPMPを持っていますが、PMBOK聖典とは思っていません。

等と書かれているが、要するに定められたゴール/スコープに対して、必要なことは何でも実施し、その実施のためにフレームワークを活用したり、関連するソフトスキル等のコンピタンスを積極的に活用する人のことをプロジェクトマネージャーと呼ぶのだろう。従って、ちょっと違った見方をすると、プロジェクトマネージャーは、『goal oriented』と書かれている通り、『決まったゴール』に向かって『プロジェクトを回す』人とも言える。

 では、この『決まったゴール』というのは誰が定めるのだろうか。時には顧客から提示された仕様書であったり、あなたの上司の指示であったり、上位のシステム要求であったりするだろうが、もっと能動的に価値起点/組織視点でのゴールを策定しようとするのがプロダクトマネージャーである。

 プロダクトマネージャーの役割について、例えばMelissa Perriの『プロダクトマネジメント』では、以下のように述べられている。

組織におけるプロダクトマネージャーの本当の役割は、チームと協力して、ビジネスニーズとユーザーの問題解決を同時に満たす適切なプロダクトを作ることです。そのためには、さまざまな帽子をかぶる必要があります。プロダクトマネージャーとして仕事を効率的に進めたいなら、会社のさまざまな側面を理解しなければいけません。マーケットとビジネスの仕組みを理解する必要もあれば、会社のビジョンと目標を本当の意味で理解する必要もあります。また、プロダクトのユーザーを理解するには、ユーザーに対する深い共感も必要です。

 当たり前やんけ、と思われる方もいるかもしれないが一方で、プロジェクトマネージャーの役割イメージとはそれなりに異なりそうだ、という感覚を持たれた方も多いのではないかと思う。

 上記の通り、プロダクトマネージャーは、『ビジネスニーズとユーザーの問題解決を同時に満たす適切なプロダクトを作ること』をミッションとしており、goal orientedといよりかはどちらかと言うとpurpose orientedな活動を行う。何か決まったゴール(製品スコープ等)に対してアプローチする、というよりかは、ビジネスニーズとユーザーの問題解決を同時に満たすためには何をすべきか?なぜそれが必要なのか?というような、方向性を定める活動に比重を置く。

 勿論、プロダクトマネージャーの活動の中には、プロジェクトマネージャーとしての仕事も含まれるのだが、プロダクトマネージャーは定まった方向性に対してプロジェクトを回す、プロダクトマネージャーは、方向性を定める、といった点に大きな違いがあると思う。

プロジェクトマネジメントにプロダクトマネジメントの風味を加えると良いかもしれない

 従って、今あなたが置かれている状況に応じて、今はプロダクトマネジメントが求められているのか、あるいは、プロジェクトマネジメントが求められているのかをはっきりさせ、その前提に応じた取組を実施することが重要だと考える。プロジェクトマネジメントを実施している中で、『この製品(またはサービス等)をこのまま作ってしまってよいのだろうか』、あるいは、『仕様書のこの部分は自社のビジネスに合わない』ということを感じたことがある人も多いと思うが、そういうタイミングでほんのわずかでもプロダクトマネジメント的な活動ができれば、顧客や上司の納得性もあがるし、製品やサービスの横展開のチャンスも生まれる。どちらが偉いという訳ではないが、もし今プロジェクトに携わっているが、プロダクトマネジメントについて余り意識したことが無い、という方がいれば、書籍などで調べてみることをお勧めする。

 

あなたが経営者だったら

 上で述べていることと相反するかもしれないが、プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの境界はあるようで無い。あなたが経営者だったら、今会社にとって必要なものがプロダクトマネジメントなのかプロジェクトマネジメントなのか考えながら、部下や部門に仕事を任せると良いだろう。逆に部下や部門が、プロセスやリソースだけでなく、プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメントに関する進めにくさや困りごとを訴えきたら、同じように整理をするチャンスなのかもしれない。

次回以降:以下のあたりのどれかについて書きます
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーのスキルセット
プロジェクトマネージャーに対する経営層からの期待
パワーポイントエンジニアリング
私の大失敗プロジェクト
最近のプロジェクトマネジメントの流行り
機能品質とPOC
他に何かあったらコメントで教えてください

 

(書き手:S)

プロジェクトマネージャーとラインマネージャーの違い

 プロジェクトマネージャーとラインマネージャーのざっくりした違い

 企業というのは営利活動を目的として運営(※ドラッカー書籍等では新規顧客開拓とされています)されている訳であるから、大体の方が何らかのプロジェクトに関わったことがある、または、現在進行形で関わっていることと思う。このプロジェクトの運営というのは本当に山あり谷ありで、顧客や社内他部門等によって定義されたプロジェクトの成果物を、計画に則ってdeliverするのが原則となるが、人・モノ・金・時間等が足りないということにしばしば陥る。

 プロジェクトマネージャーは、一般的には(例えばPMBOK等を参照すると)この複雑怪奇なプロジェクトを成功させるために、東奔西走する。例えば、定義されたプロジェクトスコープを達成するための人・金・時間の計画を立てたり、顧客等の強いステークホルダーとの要求調整を行ったり、時には自分自身がエンジニアになって成果物を作成する、というようなことも個人事業主の方だったりすると行っていることだろう。

 一方で、ラインマネージャーは、別の切り口でプロジェクトの成功に貢献している。プロジェクトを成功に導くためには、プロジェクトマネージャーの活躍だけでは足りなくて、プロジェクトを構成する人自身や、その人によって提供される機能(時によってはプロセス)の高度化が必要不可欠であり、そのような高度化の役割を担うのがラインマネージャーである。組織によって大分ちがうと思うのだが、プロジェクトマネージャーとラインマネージャーの概念が存在する組織においては、一版的にはラインマネージャーは、部門に属する人のコンピタンス向上を行ったり、その人たちを通じて提供される機能の品質を担保したりする役割を担っていることが多いように思う。

 もう少し端的に、かつ、誤解を恐れずにまとめてみると、以下のような役割の違いがあると私は感じている。

プロジェクトマネージャー

 ・プロジェクトにハンズオンで関わり、その実行/結果説明に責任を持つ
ラインマネージャー
 ・プロジェクトに提供される人や機能の高度化/品質担保に責任を持つ
  ※ 待て待て、うちの会社/私は違うぞ、という方も多数おられると思いますが、それについては次項で述べます。

  ※ いやいや私はプロダクトマネージャーです、いえアカウントマネージャーで・・・等という方も多数おられると思いますが、実行スコープが存在すると仮定すると、広義の意味でのプロジェクトマネージャーとも捉えられると思いますので一旦その目線で見て頂きたいと思います。

会社/組織によって異なるプロジェクトマネージャーの役割や立ち位置

 上述の通り、凄くざっくり言うと、組織(個人事業主の方も含む)には2タイプのマネージャーがいて、プロジェクトマネージャーかラインマネージャーのいずれかに分類されるものだと私は考えているが、ここで注意(?)したいのは、組織によってその役割や立ち位置が大きく変わる、という点だ。

 日本のTraditionalな組織に多くみられるのが、ラインマネージャーがプロジェクトマネージャーを兼務し、独立採算制をとっている各事業部/各製品部門において、縦割りっぽく製品/サービス開発を行っているパターンだ。これは複雑なようで分かりやすくて、売りたい、または、作りたい製品/サービスとそれをハンドリングする部門が大体1対1対応していて、その対応関係の中で、部門長がプロジェクトマネジメントを行いつつ、人やコンピタンスの育成を行っていく。従って、あなたの上司(居ないよ、という人もいるかもですが)は、その部門が受け持つ製品に関するプロジェクトマネジメントの知識も、部下や後輩を育成するための方法論にもたけていることが多い。

 海外の組織や、各プロジェクトに横断的なコンピタンスを配置したがる組織が採用しているのが、マトリックス型と呼ばれる組織だ。何がマトリックスなのかというと(例の弾丸を横になってよけるやつではない)、縦串が例えば機能ごとに細分化された部門、横串が各プロジェクト、と言ったイメージだ。単純化した例で言うと、ある自動車会社の部門として、エンジン部門、タイヤ部門、車体制御部門、ハンドル部門・・・等があったとして、これらが縦軸である。各部門は専門特化/機能特化した集団のイメージで捉えて頂きたい。では横軸は何かというと、各プロジェクトであり、例えば『軽自動車プロジェクト』、『セダンプロジェクト』、『軽トラプロジェクト』と言った形だ。『軽自動車プロジェクト』のプロジェクトマネージャーである貴方は、エンジン部門から二人、タイヤ部門から三人、・・・等と、各部門から人を募り(集めて)、プロジェクトの運営を行っていく(イメージがついただろうか・・・)。 

 また、機能ごとに細分化された部門がほぼ存在せず、プロジェクトが中心となり組織が構成されている会社も存在する(プロジェクト型組織)。これは例えば一部のコンサルティング会社のように、機能ごとに組織を細分化する必要がなく(例えば『戦略コンサル』等と社内の専門性が割と一元化されていたりして)、顧客プロジェクトごとに括っているような場合である。割と小数精鋭のイメージがあるが、これも会社/組織としての合理性の判断からそうなっているものと思われる。

 このように、各組織によって、プロジェクトマネージャーの役割や動き方は大分ことなる。あなたがラインマネージャー兼プロジェクトマネージャーなら(私はこれが"プレイングマネージャー"と呼ばれるやつだと思っているが)、余り他の部門の心配はせず、自分の属する組織内で色々と調整や実行を行うだろう。逆に貴方がマトリックス型の組織におけるプロジェクトマネージャーであったなら、各機能ごとに細分化された組織との調整や異なる部門から集まってきた人々を束ねるための工夫を行うだろう。

 本当はもっと色々あり、私も不正確なことを書いている気もまぁまぁするので、詳しく勉強してみたい人は、とりあえずPMBOKの記事を参照されることをお勧めする。また、これらの概念と違う組織概念を持たれている/知っている方については、是非コメント等で教えて頂きたい(私はエンジニアリング界隈、それらに関わるプログラムマネジメントや経営管理中心に働いてきており、組織設計は専門外のため)。

The Matrix Organization

https://www.pmi.org/learning/library/matrix-organization-structure-reason-evolution-1837

https://pmi-p-001.sitecorecontenthub.cloud/api/public/content/8ec055fa870543d887d771d637419ee2?v=c5377bd1

 Figure 2. Simple matrix organization (上記リンクより引用)

もし貴方がプロジェクトマネージャーなら:貴方はどんな組織に属しているか?

 もし貴方がプロジェクトマネージャー、または、プロジェクトに関わるメンバーだとしたら、一度、貴方の組織がどういうタイプの組織なのか考えてみて欲しい。ラインマネージャーがプロジェクトマネージャーを兼務しているだろうか?あるいは、マトリックス型のようにその役割が分かれているだろうか?そうだとしたら、その権限バランスはどうなっているだろうか?

 ある程度答えが出たら、今度はその組織タイプに応じて期待されている役割や動き方のイメージと、貴方の現在の動き方や方針が合っているか、ざっくりでいいので確認してみて欲しい。例えば、マトリックス型の組織であった場合、プロジェクトマネージャーである貴方は、各機能部門からのアウトプット品質に文句をつける必要はあるが、その品質を高めるための、ラインマネージャーの部門員育成方針に変に口を出したりしていないだろうか?また例えば、プロジェクト型組織であるのに、ラインマネージャーとしてのoutputに力を入れすぎたりしていないだろうか?

 必ずしも組織タイプに合わせて自分の権限や役割を狭める必要はないが、得意不得意の役割分担と、連携する観点からもし気づきや改善すべき点がありそうなら実行してみて欲しい。きっと、貴方の上司や経営層から、ある種模範となるプロジェクトマネージャーだと認められるだろう(恐らく、多分。)。

次回以降:以下のあたりのどれかについて書きます
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーのスキルセット
プロジェクトマネージャーに対する経営層からの期待
パワーポイントエンジニアリング
私の大失敗プロジェクト
最近のプロジェクトマネジメントの流行り
機能品質とPOC
他に何かあったらコメントで教えてください

 

(書き手:S)